母乳バンクについて

早産児に対する母乳は、単なる栄養ではなく、“薬”としての役割もあります。早産女性の母乳分泌のメカニズムを理解し、早産に至った女性に対する搾乳支援にいかすことが重要です。しかし、母親の体調が悪い、十分な母乳が出ない、また、母体治療のために母乳を与えられない場合もあります。2019年、日本小児科学会より“早産・極低出生体重児の経腸栄養に関する提言”が出されて、母親の母乳が与えられない場合は認定を受けた母乳バンクから提供されるドナーミルクを用いるよう推奨されました(1)。母乳栄養は壊死性腸炎、重症感染症、未熟児網膜症、慢性肺疾患などの罹患率を低下させるという報告も散見されますが、中でも、壊死性腸炎は現在でも死亡率の高い疾患であり、また、救命できても将来のQOLの低下にもつながりかねないため、母乳栄養を含めた予防が重要です(2)。ドナーミルクは人工乳にくらべて有意に壊死性腸炎の罹患率を低下させることが報告されています(3,4)。また、経腸栄養の標準化における役割も認識されるようになり、北米・欧州でも毎年新しい母乳バンクが設立されています。

  1. 早産・極低出生体重児の経腸栄養に関する提言“ 日児誌 2019
  2. ESPGHAN Committee on Nutrition. Donor human milk for preterm infants: current evidence and research direction. J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2013 Oct;57(4):535-42
  3. Sisk PM, et al. Necrotizing enterocolitis and growth in preterm infants fed predominantly maternal milk, pasteurized donor milk, or preterm formula: a retrospective study. Am J Perinatol 2016
  4. Cochrane Database of Systematic Refiews. Fromula milk versus donor breast milk for feeding preterm or low birth weight infants. 2014 CD002971

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