母乳またはドナーミルクだけでは超早産児に必要な栄養は与えられないため、母乳強化物質を母乳に添加している。現在、我が国で利用可能なものはウシの乳由来の母乳強化物質のみである。牛乳由来の母乳強化物質の問題点としては、経腸栄養不耐の増加、ミルクアレルギー、脂肪酸カルシウム結石形成がある。海外では人乳由来母乳強化物質(液体)が使うことができ、超早産児の短期予後、長期予後の改善につながったという報告も散見されるようになった。我々の施設においても、消化管手術を受けた超早産児に人乳由来母乳強化物質を輸入し、児の体重増加が改善したという症例も経験している。超早産児の多くがNICUを生存退院する我が国において、人乳由来母乳強化物質が広く使えるようになることはおおくの恩恵をもたらすと考えられる。
母乳栄養に母乳由来母乳強化物質を添加する栄養方法をexclusive human milk-based diet(EHMD)と呼ぶが、EHMDにより医療費削減につながるという論文もある。これは経腸栄養不耐が少ないため、経腸栄養の確立が早まり静脈栄養期間が短縮すること、慢性肺疾患や未熟児網膜症など超早産児に散見される合併症が減ること、入院期間が短縮することなどが関係している。 日本では母乳由来母乳強化物質が薬品として使用されることを前提に医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議した。この結果、我が国でも2021年10月より2023年2月まで、11施設によるphase 3のRCTが行われた(JASMINE trial)。
体重増加のスピードはEHMD群:13.44g/kg/d、一方、コントロール群は11.96g/kg/dであり有意にEHMD群のほうがよかった(p=0.006)。また、EHMDにより体重だけでなく身長・頭囲に関しても増加スピードは現状での栄養方法にくらべて改善することがわかった今後、ドナーミルクを用いた経腸栄養の標準化ならびに人乳由来母乳強化物質が利用できるようになることで超早産児の予後改善を期待する。
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