母乳の「ナトリウム(Na)」を測ることで、乳腺炎や乳管閉塞を防げるかもしれません
母乳育児は赤ちゃんにとって最良の栄養である一方で、
乳管閉塞(つまり)や乳腺炎といったトラブルに悩むお母さんは少なくありません。
実は近年、母乳中のナトリウム(Na)濃度が、
こうしたトラブルを「早く気づくためのサイン」になる可能性が注目されています。
母乳の成分は、乳房の健康状態を反映します
母乳に含まれる
- ナトリウム(Na)
これらは、乳腺の細胞がきちんと機能しているかどうかを反映すると考えられています。
特にナトリウムは、
乳管が詰まったり、軽い炎症(自覚症状がない「潜在性乳腺炎」)が起こると、
母乳中で上昇しやすいことが知られています。
研究でわかったこと:Naは乳管閉塞の「鋭いサイン」
私たちは、日本母乳バンク協会・おけたに母乳育児研究所と共同で、
635検体という多数の母乳を分析しました。
母乳は次の4つの状態に分けて比較しました。
- 乳管閉塞・乳腺炎がある乳房からの母乳
- 詰まりのある乳管と正常な乳管が混ざった母乳
- 問題のない乳管からの母乳
- ドナーミルク(安定した成熟母乳の基準)
その結果、
- 乳管閉塞がある場合、母乳中Naが明らかに高くなる
- カリウム(K)は比較的安定している
- Naは状態の違いを非常によく反映する
ことがわかりました。
Na測定は「痛くなる前」に気づく手がかりになる
解析の結果、
母乳中Na濃度は、乳管閉塞の有無を 非常に高い精度(AUC 0.96) で判別できました。
つまり、
- 痛みが出る前
- 発赤や発熱が出る前
の段階で、
「この乳房、ちょっと詰まりかけているかも」
と気づける可能性があるのです。
なぜNa測定が実用的なのか
Na測定には、次のような利点があります。
- 採血などは不要(母乳だけでOK)
- 小型測定器で短時間に測定可能
- 数値がシンプルで、計算がいらない
- 客観的な指標として説明しやすい
これは、
助産師・医師による乳房ケア
セルフケアの目安
の両方に活用できる可能性を秘めています。
乳腺炎の「治療」から「予防」へ
乳腺炎は「なってから治す」もの、と思われがちですが、
本当は その一歩手前で気づくこと がとても大切です。
母乳中ナトリウム(Na)測定は、
- 乳管閉塞の早期発見
- 乳腺炎の予防
- 不安の「見える化」
につながる、新しいアプローチと言えるかもしれません。
最後に
母乳育児を続ける中で、
「なんとなく張る」「左右で違和感がある」
そんな小さな変化を、数値で確認できる時代が近づいています。
今後も、母乳と乳房の健康を科学的に支える研究を進め、
お母さんと赤ちゃんを一緒に支える仕組みを広げていきたいと考えています。
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